普段の生活の中で手形を使うことは、ほとんどありません。
ですから会社で総務課などに配属になって初めて勉強する人も多いことでしょう。
手形については専門用語が案外あって、よく理解してない間に銀行や取引先から手形に関する質問をされると困ることがよくあります。
手形割引や裏書きもそれらのひとつです。何も調べずに即答できれば良いのですが、割引や裏書きには注意すべき点があって、単に意味が分かっただけでは有効でないことがあり面倒なものです。
先日忙しく仕事をこなしていると突然、取引先の知り合いから電話が掛かってきました。
なんでも手形割引と裏書きについて教えて欲しいとのこと。
手形には馴染みがないため丁重に断ろうかと考えましたが、知っている範囲で答えました。
小切手と似ていますが、支払期日が決まっているのが手形です。
受取人が支払期日に銀行など金融機関に提示すると額面の現金を受け取れます。
ただ、ときどき支払期日前に現金化したい事情が生じることがあります。
こんなときに役立つのが手形割引です。
本来は支払期日まで現金化できない手形を買取ってもらう制度です。
金融機関など買取側は間違いなく現金化できるのか振出人の信用を審査します。
買取る時点で手数料や利息など一定の金額が額面から差し引かれるので割引と言います。
一方、額面で第三者に譲渡する方法によっても期日前に現金化することができます。
この場合、手数料など割引かれることはなく第三者が手形受取人の立場になります。
それを証明するために手形の裏に会社名などを記載する必要があるので裏書と呼びます。
裏書を利用すれば支払期日前に手形を現金化できるので便利だと伝えたのですが、場合によっては大きな問題があるとのことです。
裏書をするときの注意点について学習し、後日知り合いに電話しました。
手形支払いの責任は振出人にあるのは裏書でも同じですが、仮に振出人が不渡りになったときは譲渡した側にも支払い責任があります。
期日前に現金化する必要があった事情から判断して、突然の支払い要求は寝耳に水で対応できないこともあるでしょう。
いくら振出人の責任を主張しても法律上責任を負うことになっており、支払えないときは振出人と同様に信用を落とす可能性があります。
ですから安易な考えで裏書を利用せず、必ず振出人の経営状況などの確認は怠らないようにしましょう。
それほど信用に関わることですから、記載事項にも注意を払い、たとえば株式会社を(株)と省略したり、一部朱肉がかすれたまま実印を押さないようにしましょう。
これらを見過ごすと支払期日に現金が受け取れません。